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第2回シンポジウム報告(令和4年度)

第2回シンポジウム報告

          日時  令和4年10月1日(10:00~13:00)
          形式  Zoomによるオンライン研修
          題目  租税法の解釈と適用
          講師  玉國 文敏(東亜大学大学院法学専攻 税法教授)
          参加者 83名

 「租税法の解釈と適用」をテーマに、東亜大学大学院 税法教授 玉國文敏先生が講師となり、話題提供と問題提起を主眼に話をされました。

 先ず、租税法はなぜ難しいのかについては、租税法に限らず法律の用語や文書は一般的な状況を想定したもので、将来起こるであろう状況も含め、柔軟に対応しうる形が多いのがその原因の一つであると述べられました。講師はこのような一般的・抽象的法規を「フリーサイズの服」に例えられました。その中で、誰にでも合うフリーサイズの服を体の寸法に合わせて縫い直すように、一般的・抽象的な法規を政令・規則または通達などで具体的事案に当てはめる作業、いわゆる「解釈」について説明されました。ただし、通達などが、間隙を埋めるだけの役割を超えている問題があることも指摘されました。具体的には医療費控除の問題について、藤沢眼鏡訴訟の裁判例を挙げて説明されました。

 次に「・・租税法の解釈は原則として文理解釈によるべきであり、みだりに拡張解釈や類推解釈を行うことは許されない」とする金子先生のお考えを紹介し、租税法の解釈手法について説明されました。ただし「厳格解釈」が裁判所の実際の判断にどう影響を与えているのかは 判決ごとの判断に多くが委ねられているとの考えを述べられました。その事例として金属マンガン事件訴訟における最高裁の判断を取り上げ説明されました。

 金子先生は、租税法が他の法分野で用いている概念を借用する場合には・・他の法分野におけると同じ意義に解釈すべきである、とされています。この借用概念論は学説上広く支持されていることを話されました。その上で講師は、借用概念論を用いるにしても、どうしても残ってしまう問題があるという問題提起をされました。その一例として、「租税法上の住所」をめぐる問題を挙げ、裁判例として武富士長男事件や公園テント事件を基に説明されました。

 租税法では、固有概念や借用概念だけでなく、その他、多数の概念が用いられていますが、金子先生はそれらの概念を一括して「その他の概念」と呼ばれています。玉國先生は「その他の概念」に下記の裁判例を挙げ、詳しく説明されました。

 ○金属マンガンが「合金鉄」に該当するかが争われた裁判例
 ○燃料税の関係で「自動車」の意義を争った事例(フォーミュラーカー事件)
 ○「船舶」の意義では海洋掘削用ジャッキアップ型リグの貸付け対価が「船舶の貸付け対価」に該当するかが問われた事例
 ○「バリケン」という鳥が関税定率表上、どのように分類し課税するかが争われた事例
最後に、これらの事例は租税法の解釈手法としても大変興味深い問題であることが述べられました。

 引き続き質疑応答に移り、参加者から計6名の方が質問に立ち、講師はそれぞれの質問に時間の許す限り丁寧に答えられ、質問者と司会者は講師にお礼の言葉を述べてシンポジウムは盛会の中に終了しました。

 なお、このシンポジウムは国内すべての税理士会の認定研修に認定され、参加者は自動的に研修時間が加算されました。

 


 

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